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外国人の確定申告ガイド:e-Tax、控除、住民税、出国時の注意点

確定申告が必要な人、申告期間2月16日〜3月15日、e-Taxの使い方、外国人が見落としがちな控除、出国時の住民税を徹底解説。

外国人の確定申告ガイド:e-Tax、控除、住民税、出国時の注意点

すぐわかるポイント

  • この記事は日本在住の外国人向けです。旅行者は日本で確定申告をする必要はありません。
  • 買い物の**免税(Tax Free)**は店舗でパスポートを提示して手続き。確定申告とは別制度です。
  • 短期出張者:源泉徴収の対象になる場合があるため、税理士に相談を。
  • 1社勤務の会社員? 会社が年末調整(年末調整)をしてくれるため、通常は確定申告不要。ただし医療費控除を申請したい場合は確定申告が必要。
  • 確定申告が必須の人: 年収2,000万円超、2カ所以上から給与、フリーランス・個人事業主、副業所得20万円超、年途中で退職して年末調整を受けていない。
  • 申告期間: 毎年2月16日〜3月15日。管轄の税務署かe-Taxで。窓口で**「確定申告をしたいのですが」**と伝える。
  • 外国人が見落とす控除: 年間10万円超の医療費、海外扶養親族(1人あたり38万円の控除)、ふるさと納税、社会保険料控除。
  • 出国する人: 住民税の支払い義務が残る。全額納付か納税管理人を選任してから出国すること。

この記事でわかること

できるようになること:

  • 確定申告が必要かどうか判断する
  • e-Taxまたは税務署の窓口で申告する
  • 年間5万〜20万円以上の節税になる控除を申請する
  • 出国時の税務処理を正しく行う

⏱️ 所要時間: 1〜3時間(初回)/ 30〜60分(2回目以降・e-Tax利用時)

💰 費用: 申告自体は無料。税理士に依頼:¥30,000〜¥100,000。

⚠️ 注意点:

  • 3月15日の期限を過ぎると延滞税+加算税が発生
  • 医療費控除の未申告 — 多くの外国人が数万円の還付を逃している
  • 出国時の住民税 — 払い忘れると滞納扱いになる

確定申告は必要か?

税務署の建物

ほとんどの会社員は申告不要。だが必要な人がしないと、罰則は厳しい。

確定申告が不要な人

  • 1社のみの会社員で年収2,000万円以下
  • 会社が年末調整(12月)を実施している
  • 給与以外の所得がない(副業なし、不動産収入なし、NISA/iDeCo以外の投資利益なし)

会社は毎月の給与から所得税を天引き(源泉徴収)し、12月の年末調整で精算する。翌年1月までに源泉徴収票が発行される。これが税金精算済みの証明。

確定申告が必須の人

  • 年収2,000万円超
  • 2カ所以上から給与を受けている(副業・アルバイト含む)
  • フリーランス・個人事業主
  • 副業所得が年間20万円超(フリーランス収入、暗号資産、株式譲渡益など)
  • 年の途中で退職して年末調整を受けていない
  • 退職所得の控除を申請したい
  • 日本で不動産を売却した

任意だが申告すべき人

  • 医療費が年間10万円超 — 還付を受けられる
  • ふるさと納税を行い、ワンストップ特例を使っていない
  • 海外に扶養親族がいる — 1人あたり38万円の所得控除
  • 来日前に本国で高額な社会保険料を支払っていた

日本の所得税率(2025年所得分)

日本は累進課税。稼ぐほど高い税率が適用される:

課税所得税率控除額
195万円以下5%0円
195万超〜330万円10%97,500円
330万超〜695万円20%427,500円
695万超〜900万円23%636,000円
900万超〜1,800万円33%1,536,000円
1,800万超〜4,000万円40%2,796,000円
4,000万円超45%4,796,000円

+復興特別所得税: 所得税額の2.1%(2037年まで)。+住民税: 約10%(市区町村民税6%+都道府県民税4%) — 6月から別途課税。

計算例: 課税所得500万円の場合、所得税 = 500万 × 20% − 427,500 = 572,500円。復興税加算 = 584,523円。住民税は約50万円。合計税負担:約108万円


申告期間:2月16日〜3月15日

確定申告のシーズン

3月最終週は税務署が大混雑。早めに申告するか、e-Taxを使う。

確定申告の対象は前年1月1日〜12月31日の所得。2025年分の申告期間は2026年2月16日〜3月15日

重要な期限:

  • 2月16日: 申告受付開始
  • 3月15日: 納税の申告期限
  • 期限後申告: 無申告加算税5〜20%+延滞税(年約2.4%)

プロの技: 還付申告(税金が戻ってくる場合)は1月1日から提出可能。2月16日を待つ必要がない。混雑を完全に回避できる。


申告方法:2つの選択肢

方法1:税務署の窓口

管轄の税務署に行き、**「確定申告をしたいのですが」**と伝える。

持参するもの:

  1. マイナンバーカード — またはマイナンバー通知カード+顔写真付き身分証
  2. 源泉徴収票 — 各勤務先から発行されたもの
  3. 控除関連の領収書 — 医療費の領収書、保険料控除証明書、ふるさと納税の受領証
  4. 銀行口座情報 — 還付金の振込先
  5. 印鑑 — またはサインで対応

実際の流れ:

  • 職員が記入をサポート。多くの税務署ではパソコンコーナーでデータ入力できる。
  • ピーク時(3月上旬)は2〜3時間待ち。整理番号制の税務署もある。
  • 事前に電話すれば英語対応可能な場合もある。

管轄税務署の調べ方: 「管轄税務署」+区市町村名で検索、またはnta.go.jpで確認。

方法2:e-Tax(オンライン申告)

国税庁のオンラインシステムで自宅から申告可能。

必要なもの:

  • マイナンバーカード(利用者証明用電子証明書を設定済み)
  • NFC対応スマートフォン(iPhone 7以降、最近のAndroid)またはPCのICカードリーダー
  • 確定申告書等作成コーナーにアクセス

手順:

  1. 確定申告書等作成コーナーにアクセス
  2. 「作成開始」を選択
  3. 「e-Taxで提出」を選択
  4. マイナンバーカードでログイン(スマホのNFCにかざす)
  5. 源泉徴収票の情報を入力
  6. 各種控除を入力(医療費、保険料、扶養親族)
  7. 計算結果を確認
  8. 電子送信

e-Taxのコツ:

  • 還付金は口座に直接振込。紙申告より早く1〜3週間で届く
  • ログイン情報は保存しておくこと。毎年使う
  • 会計ソフト(freee、マネーフォワード)と連携すると入力が楽

外国人が見落としやすい控除

ここが一番お金に直結する。日本の税制は控除が手厚いが、外国人の多くが知らずに損をしている。

医療費控除

年間の医療費が10万円を超えた場合(所得200万円未満なら所得の5%超)、超過分を控除できる。

対象になるもの:

  • 通院・入院費、手術費
  • 処方薬
  • 歯科治療(クリーニング、詰め物 — 美容目的は除く)
  • 出産費用(保険給付を差し引いた自己負担分)
  • 通院の交通費(電車・バス代 — 記録をつけておく)

対象外:

  • 市販の風邪薬(大半)
  • 美容整形
  • 人間ドック(疾病が見つかって治療した場合は除く)

計算例: 医療費30万円 − 10万円の足切り = 20万円の控除。税率20%なら4万円の還付

代替制度: セルフメディケーション税制。健康診断を受けた上で、市販薬の購入額が年間12,000円を超えた場合に控除。医療費控除との選択制(併用不可)。

海外扶養親族の控除

外国人が最も見落とす控除。 海外にいる家族(親、兄弟、子供)を経済的に支援している場合、扶養控除を申請できる。

控除額(1人あたり):

  • 一般の扶養親族(16〜18歳、23〜69歳):38万円
  • 特定扶養親族(19〜22歳):63万円
  • 老人扶養親族(70歳以上):48万円(同居なら58万円)

2023年以降の厳格化された要件:

  • 扶養親族の所得が年間48万円未満
  • 金銭的支援の証明 — 1人あたり年間38万円以上の送金記録(銀行振込の控え)が必要
  • 親族関係書類(翻訳・公証付き)
  • 6親等以内の血族、3親等以内の姻族

計算例: 海外の両親2人(70歳以上)を扶養 = 48万円 × 2 = 96万円の所得控除。税率20%なら19万2,000円の節税

ふるさと納税

地方自治体に寄付すると税額控除+返礼品がもらえる。自己負担は実質2,000円。

手順:

  1. オンラインシミュレーターで上限額を計算(「ふるさと納税 シミュレーター」で検索)
  2. ふるさとチョイス、さとふる、楽天ふるさと納税などで寄付先を選ぶ
  3. 返礼品と寄付金受領証明書を受け取る
  4. 確定申告で控除を申請、またはワンストップ特例(会社員限定、5自治体まで)

上限の目安: 住民税の約20〜30%。年収500万円なら寄付上限は約6〜7万円。

その他の主な控除

  • 社会保険料控除 — 健康保険料、年金保険料(全額控除)
  • 生命保険料控除 — 最大12万円の控除
  • 地震保険料控除 — 最大5万円の控除
  • 配偶者控除 — 配偶者の年収150万円以下の場合
  • iDeCo(個人型確定拠出年金) — 掛金全額控除(企業年金ありの会社員は年間最大27.6万円)

住民税:追いかけてくる税金

区役所の建物

住民税は「前年の所得」に基づく。来日1年目は無料、2年目からが重い。

住民税は課税所得の約10%(市区町村民税6%+都道府県民税4%)+均等割(年約5,000円)。

ポイント:

  • 前年の所得と1月1日時点の住所に基づいて課税
  • 会社員: 6月〜翌5月の毎月給与天引き
  • 自営業・無職: 区役所から納付書が届く(年4回払い)
  • 来日1年目: 住民税ゼロ(前年の日本所得がないため)
  • 罠: 2年目は今年の所得税+前年の住民税がダブルで来るため負担感が大きい

出国時の住民税:見逃すな

年の途中で出国しても、1月1日時点で日本に住所があれば、その年度の住民税は全額課税される。

出国前の手続き:

  1. 住民税を全額納付 — 区役所で精算
  2. または納税管理人を選任 — 日本に残る人に税金の代理対応を依頼。税務署で届出を提出。
  3. 確定申告が必要なら提出 — 1月〜出国月の部分年申告が可能
  4. 区役所に転出届を提出

よくある失敗: 3月に確定申告を終えて出国。住民税の通知は6月に届く。誰も払う人がいないと滞納扱いに。再入国時に問題になる可能性あり。


税理士に依頼するべきか

所得構成が複雑な場合(副業、投資、不動産、暗号資産)は税理士(国家資格の税務専門家)に依頼するのが安全。

費用の目安:

  • 会社員の確定申告(控除申請):¥30,000〜¥50,000
  • フリーランス・個人事業主:¥50,000〜¥150,000
  • 法人・従業員あり:¥100,000〜

英語対応の税理士を探すには:

  • 東京税理士会の紹介サービス
  • オンラインディレクトリ:tokyozeirishi.jp
  • 外国人コミュニティ(Reddit r/JapanFinance、Facebookグループ)

結論: 1社勤務の会社員でシンプルな控除だけならe-Taxで十分。フリーランスで海外所得がある場合は、税理士の¥50,000〜¥100,000は正しい控除申請と間違い回避で元が取れる。


うまくいかない時

症状 原因 解決方法
3月15日の期限を過ぎた 忘れた、後回しにした、知らなかった すぐに申告する。期限後1ヶ月以内なら加算税5%。遅くても申告しないより遥かにマシ。
マイナンバーカードがなくてe-Taxが使えない 未申請、または受取忘れ 税務署で窓口申告(マイナンバー通知カード+顔写真付き身分証で可)。並行してマイナンバーカードを申請
源泉徴収票を紛失した 書類管理の問題 勤務先(現・元)に再発行を依頼。発行義務がある。
出国後に住民税の通知が届いた 出国前に納付も納税管理人の選任もしなかった 区役所に連絡。海外送金での支払い対応可能な場合あり。日本にいる知人に代理対応を頼む。
還付金が振り込まれない 口座情報の間違い、名義の不一致 税務署に問い合わせ。e-Taxなら「メッセージボックス」で状況確認可能。

よくある質問

Q: 年末調整をしてもらったが、確定申告もすべき?

A: 通常は不要。ただし医療費控除、海外扶養親族の控除、ふるさと納税(5自治体超)を申請したい場合は確定申告が必要。年末調整ではこれらの控除に対応できない。


Q: フリーランスだが何を保管すべき?

A: すべての収入証明、発行した請求書、経費の領収書(機材、交通費、事務用品、ソフトウェア、コワーキングスペース)。保存期間は7年間。freeeやマネーフォワードなどの会計ソフトの利用を推奨。


Q: 暗号資産の税金は?

A: 暗号資産の利益は雑所得として総合課税。最高税率は住民税込みで55%。売却・交換・暗号資産での購入すべてが課税対象。詳細な記録が必須。税理士への依頼を強く推奨。


Q: 海外企業のリモートワーク。日本で税金を払う?

A: 日本の税務上の居住者(一般的に1年以上滞在)であれば、全世界所得に日本の所得税がかかる。海外の雇用主が日本の税金を天引きしていない場合、自分で確定申告して納税する必要がある。複雑なケースなので税理士に相談を。


Q: ふるさと納税の上限額がわからない

A: 「ふるさと納税 シミュレーター」で検索し、年収と家族構成を入力すると概算額が出る。さとふる、ふるさとチョイス、楽天ふるさと納税のサイトに無料のシミュレーターがある。


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まとめ

  1. ほとんどの会社員は申告不要 — 年末調整で完了。ただし医療費10万円超や海外扶養親族がいるなら確定申告で還付を受けるべき。
  2. 申告期間は2月16日〜3月15日 — 還付申告は1月1日から可能。早めに済ませる。
  3. 控除を確実に申請 — 海外扶養親族、医療費控除、ふるさと納税。この3つが外国人が見落とす最大の節税ポイント。

次のステップ: 申告が必要か確認。必要なら源泉徴収票と医療費の領収書を集める。e-Taxを試す — 還付は1〜3週間で届く。複雑なら1月中に税理士を予約(3月前は予約が埋まる)。


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